そもそも胃腸症状はなぜ起こるのか?胃が弱いとは何なのか?

by 神谷雄介

胃腸症状の原因としては、①病気がある場合、②病気がない場合の2つがあります。

病気がある場合には、胃潰瘍や十二指腸潰瘍・胃がん、ヘリコバクターピロリ菌関連などが原因として挙がりますが、実は胃腸症状に悩んでおられる方の多くが、②の病気がなく症状があるパターンなのです。

実際に症状があり病院で胃カメラなどの検査を行っても異常がなく、「問題ない」「ストレス」と言われ胃薬を出されて診察が終わってしまったという経験をされた方も少なからずおられるのではないでしょうか?

このように病気がないにも関わらず症状が出てしまう方を「胃が弱い」「胃弱」「神経性胃炎」などと表現し、医学的には機能性ディスペプシアと呼びます。

もともと胃酸の分泌や胃の動きや知覚には、自律神経や胃内細菌叢などが関わっており、外的なストレスや疲れ・睡眠不足などで自律神経の調整が乱れ、胃酸分泌過多や粘膜の知覚過敏になって痛みが出たり、胃の動きが低下することで食欲不振やもたれが出現します。

このように自律神経の働きの乱れなどが要因となり、病気はないのに症状が出てしまうということが起こってしまうのです。

機能性ディスペプシア

 

◆胃内細菌叢と機能性ディスペプシアの関係

同じようなストレスや疲れがあっても機能性ディスペプシアを発症する人とそうでない人がいます。

その差はいわゆる体質的な部分になってきますが、その一つに“胃内細菌叢”が関わっていると言われています。

健常な方と機能性ディスペプシアの方とで胃液の細菌叢構成を調べてみると、機能性ディスペプシアの方では典型的な腸内常在菌属であるバクテロイデス属、ビフィドバクテリウム属などに加え、病原性を持つエスケリキア属が多数検出されています。

機能性ディスペプシアの方に胃由来の乳酸菌の摂取を続けてもらい、胃液を採取し再検査したところ、これらの胃内細菌叢の異常の大部分が是正され、胃の症状も改善していたとの報告があり、胃内細菌叢が症状発症の一つの要因となっている可能性が示唆されています。

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文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長・神谷雄介

(消化器内科・内視鏡専門医)